Главная > Исэ но Моноготари > Ise Monogatari. Часть III

Ise Monogatari. Часть III


11 янв 2008. Разместил: Vadim
Дополнительное чтение по японскому языку.
Уровень сложности - высокий.

伊勢物語(群書類従物語部) - Часть 3

Исэ Моноготари

 

Часть 1 Часть 2 Часть 3


88

むかし、いとわかきにはあらぬ、これかれともだちどもあつまりて、月を見て、それがなかにひとり、おほかたは月をもめでじこれぞこのつもれば人のおいとなるもの


89

むかし、いやしからぬおとこ、われよりはまさりたる人を思ひかけて、としへける。

人しれずわれこひしなばあぢきなくいづれの神になき名おほせむ


90

むかし、つれなき人をいかでと思ひわたりければ、あはれとや思ひけむ、さらばあすものごしにても、といへりけるを、かぎりなくうれしく、又うたがはしかりければ、おもしろかりけるさくらにつけて、さくらばなけふこそかくもにほふらめあなたのみがたあすのよのことといふ心ばへもあるべし。


91

むかし、月日のゆくをさへなげくおとこ、三月つごもりがたに、おしめども春のかぎりのけふの日のゆふぐれにさへなりにけるかな


92

むかし、こひしさにきつゝかへれど、女にせうそこをだにえせでよめる。あし辺こぐたなゝしをぶねいくそたびゆきかへるらむしる人もなみ


93

むかし、おとこ、身はいやしくて、いとになき人を思ひかけたりけり。すこしたのみぬべきさまにやありけむ、ふしておもひ、おきておもひ、思ひわびてよめる。

あふなあふなおもひはすべしなぞへなくたかきいやしきくるしかりけりむかしもかゝる事は、世のことはりにや有けむ。


94

昔、おとこ有けり。いかゞありけむ、そのおとこすまずなりにけり。のちにおとこありけれど、子あるなかなりければ、こまかにこそあらねど、時ゞ物いひをこせけり。女がたに、ゑかく人なりければ、かきにやれりけるを、いまのおとこのものすとて、ひとひふつかをこせざりけり。かのおとこ、いとつらく、をのがきこゆる事をばいままでたまはねば、ことはりとおもへど、猶人をばうらみつべき物になむありけるとて、ろうじてよみてやれりける。時は秋になむありける。

秋の夜は春日わするゝものなれやかすみにきりやちへまさるらむとなむよめりける。女、返し、ちゞの秋ひとつのはるにむかはめやもみぢも花もともにこそちれ


95

昔、二条の后につかうまつるおとこありけり。女のつかうまつるを、つねに見かはして、よばひわたりけり。いかでものごしにたいめんして、おぼつかなく思ひつめたること、すこしはるかさむ、といひければ、をむな、いとしのびて、ものごしにあひにけり。物がたりなどして、おとこひこぼしにこひはまさりぬあまの河へだつるせきをいまはやめてよこのうたにめでゝあひにけり。


96

昔、男ありけり。女をとかくいふこと月日へにけり。いは木にしあらねば、心ぐるしとや思ひけむ、やうやうあはれと思ひけり。そのころ、みな月のもちばかりなりければ、女、身にかさひとつふたついできにけり。女、いひをこせたる。今はなにの心もなし。身にかさもひとつふたついでたり。時もいとあつし。すこし、秋風ふきたちなむとき、かならずあはむ、といへりけり。秋たつころをひに、こゝかしこより、その人のもとへいなむずなりとて、くぜちいできにけり。さりければ、この女のせうと、にはかにむかへにきたり。さればこの女かえでのはつもみぢをひろはせて、うたをよみて、かきつけてをこせたり。

秋かけていひしながらもあらなくにこのはふりしくえにこそありけれとかきをきて、かしこより人をこせば、これをやれ、とていぬ。さて、やがてのちつゐにけふまでしらず。よくてやあらむ、あしくてやあらむ、いにし所もしらず。かのおとこはあまのさかてをうちてなむのろひをるなる。むくつけきこと、人のゝろひごとはおふ物にやあらむ、おはぬものにやあらむ、いまこそは見め、とぞいふなる。


97

むかし、ほりかはのおほいまうちぎみと申、いまそかりけり。四十の賀、九条の家にてせられける日、中将なりけるおきな、さくらばなちりかひくもれおいらくのこむといふなるみちまがふがに


98

むかし、おほきおほいまうちぎみときこゆる、おはしけり。つかうまつるおとこ、なが月許に、むめのつくりえだにきじをつけてたてまつるとて、わがたのむきみがためにとおる花は時しもわかぬ物にぞありけるとよみたてまつりたりければ、いとかしこくをかしがりたまひて、つかひにろくたまへりけり。


99

むかし、右近の馬場のひをりの日、むかひにたてたりけるくるまに、女のかほのしたすだれよりほのかに見えければ、中将なりけるおとこのよみてやりける。

見ずもあらず見もせぬ人のこひしくはあやなくけふやながめくらさむ返し、しるしらぬなにかあやなくわきていはむおもひのみこそしるべなりけれのちはたれとしりにけり。


100

昔、男、後涼殿のはさまをわたりければ、あるやむごとなき人の御つぼねより、わすれぐさをしのぶぐさとやいふ、とて、いださせたまへりければ、たまはりて、わすれぐさおふる野辺とは見るらめどこはしのぶなりのちもたのまむ


101

むかし、左兵衛督なりけるありはらのゆきひらといふ、ありけり。その人の家によきさけありと、うへにありける左中弁ふぢはらのまさちかといふをなむ、まらうどざねにて、その日はあるじまうけしたりける。なさけある人にて、かめに花をさせり。その花のなかに、あやしきふぢの花有けり。花のしなひ三尺六寸ばかりなむ有ける。それをだいにてよむ。よみはてがたに、あるじのはらからなる、あるじゝたまふときゝてきたりければ、とらへてよませける。もとよりうたのことはしらざりければ、すまひけれど、しゐてよませければ、かくなむ、さくはなのしたにかくるゝ人をおほみありしにまさるふぢのかげかもなどかくしもよむ、といひければ、おほきおとゞのゑい花のさかりにみまそかりて、藤氏のことにさかゆるを思ひてよめる、となむいひける。みな人、そしらずなりにけり。


102

むかし、おとこ有けり。うたはよまざりけれど、世中を思ひしりたりけり。あてなる女のあまになりて、世中を思ひうんじて、京にもあらず、はるかなる山ざとにすみけり。もとしぞくなりければ、よみてやりける。

そむくとてくもにはのらぬものなれどよのうきことぞよそになるてふとなむいひやりける。斎宮のみやなり。


103

むかし、おとこありけり。いとまめにじちようにて、あだなる心なかりけり。ふかくさのみかどになむつかうまつりける。心あやまりやしたりけむ、みこたちのつかひたまひける人をあひいへりけり。さて、ねぬる夜のゆめをはかなみまどろめばいやはかなにもなりまさるかなとなむよみてやりける。さるうたのきたなげさよ。


104

昔、ことなる事なくてあまになれる人有けり。かたちをやつしたれど、ものやゆかしかりけむ、かものまつり見にいでたりけるを、おとこうたよみてやる。

世をうみのあまとし人を見るからにめくはせよともたのまるゝかなこれは斎宮の物見たまひけるくるまに、かくきこえたりければ、見さしてかへりたまひにけりとなむ。


105

昔、男、かくてはしぬべし、といひやりたりければ、女白露はけなばけなゝむきえずとてたまにぬくべき人もあらじをといへりければ、いとなめしと思ひけれど、心ざしはいやまさりけり。


106

むかし、おとこ、みこたちのせうえうし給所にまうでゝ、たつたがはのほとりにて、ちはやぶる神世もきかずたつた河からくれなゐに水くゝるとは


107

昔、あてなるおとこ有けり。そのおとこのもとなりける人を、内記にありけるふぢはらのとしゆきといふ人よばひけり。されどまだわかければ、ふみもおさおさしからず、ことばもいひしらず、いはむやうたはよまざりければ、このあるじなる人、あんをかきてかゝせてやりけり。めでまどひにけり。さて、おとこのよめる。

つれづれのながめにまさる涙河袖のみひぢてあふよしもなし返し、れいのおとこ、女にかはりて、あさみこそゝではひづらめ涙河身さへながるときかばたのまむといへりければ、おとこいといたうめでゝ、いまゝでまきて、ふばこにいれてありとなむいふなる。おとこ、ふみをこせたり。えてのちの事なりけり。あめのふりぬべきになむ見わづらひ侍。みさいはひあらば、このあめはふらじ、といへりければ、れいのおとこ、女にかはりてよみてやらす。

かずかずにおもひおもはずとひがたみ身をしるあめはふりぞまされるとよみてやれりければ、みのもかさもとりあへで、しとゞにぬれてまどひきにけり。


108

むかし、女、ひとの心をうらみて、風ふけばとはに浪こすいはなれやわか衣手のかはく時なきとつねのことぐさにいひけるを、きゝおひけるおとこ、夜ゐごとにかはづのあまたなく田には水こそまされ雨はふらねど


109

むかし、おとこ、ともだちの人をうしなへるがもとにやりける。

花よりも人こそあだになりにけれいづれをさきにこひむとか見し


110

昔、おとこ、みそかにかよふ女ありけり。それがもとより、こよひゆめになむ見えたまひつる、といへりければ、おとこ、おもひあまりいでにしたまのあるならむ夜ふかく見えばたまむすびせよ


111

むかし、おとこ、やむごとなき女のもとに、なくなりにけるをとぶらふやうにていひやりける。

いにしへや有もやしけむ今ぞしるまだ見ぬ人をこふるものとは返し、したひものしるしとするもとけなくにかたるがごとはこひぞあるべき又、返しこひしとはさらにもいはじゝたひものとけむを人はそれとしらなむ


112

むかし、おとこ、ねむごろにいひちぎれる女の、ことざまになりにければすまのあまのしほやく煙風をいたみおもはぬ方にたなびきにけり


113

むかし、おとこ、やもめにてゐて、ながゝらぬいのちのほどにわするゝはいかにみじかき心なるらむ


114

むかし、仁和のみかど、せり河に行かうし給ける時、いまはさる事にげなく思ひけれど、もとつきにける事なれば、おほたかのたかがひにてさぶらはせたまひける。すりかりぎぬのたもとにかきつけゝる。

おきなさび人なとがめそかり衣けふ許とぞたづもなくなるおほやけの御けしきあしかりけり。をのがよはひを思ひけれど、わかゝらぬ人はきゝおひけりとや。


115

むかし、みちのくにゝて、おとこ女すみけり。おとこ、みやこへいなむといふ。この女、いとかなしうて、うまのはなむけをだにせむとて、おきのゐ宮こじまといふ所にて、さけのませてよめる。

をきのゐて身をやくよりもかなしきはみやこしまべのわかれなりけり


116

昔、男、すゞろにみちのくにまでまどひいにけり。京に、おもふ人にいひやる。

浪まより見ゆるこじまのはまひさしひさしくなりぬきみにあひ見でなにごとも、みなよくなりにけり、となむいひやりける。


117

むかし、みかど、すみよしに行幸したまひけり。我見てもひさしくなりぬすみよしのきしのひめまついく世へぬらむ

おほむ神、げぎやうし給て、むつまじと君はしら浪みづがきのひさしき世ゝりいはひそめてき


118

むかし、をこと、ひさしくをともせで、わするゝ心もなし、まいりこむ、といへりければ、たまかづらはふ木あまたになりぬればたえぬ心のうれしげもなし


119

むかし、女の、あだなるおとこのかたみとて、をきたる物どもを見て、かたみこそ今はあだなれこれなくはわするゝ時もあらましものを


120

むかし、おとこ、女のまだよへずとおぼえたるが、人の御もとにしのびてものきこえて、のちほどへて、近江なるつくまのまつりとくせなむつれなき人のなべのかず見む


121

むかし、おとこ、梅壷よりあめにぬれて、人のまかりいづるを見て、うぐいすの花をぬふてふかさもがなぬるめる人にきせてかへさむ返し、鶯の花をぬふてふかさはいなおもひをつけよほしてかへさむ


122

むかし、をとこ、ちぎれる事あやまれる人に、山しろのゐでのたま水手に結びたのみしかひもなき世なりけりといひやれど、いらへもせず。


123

むかし、おとこありけり。深草にすみける女を、やうやうあきがたにや思ひけむ、かゝるうたをよみける。

年をへてすみこしさとをいでゝいなばいとゞ深草野とやなりなむ女、返し、野とならばうづらとなりてなきをらむかりにだにやはきみはこざ覧とよめりけるにめでゝ、ゆかむと思ふ心なくなりにけり。


124

むかし、おとこ、いかなりける事を、おもひけるおりにかよめる。

思ふ事いはでぞたゞにやみぬべき我とひとしき人しなければ


125

昔、おとこ、わづらひて、心地しぬべくおぼえければ、つゐにゆくみちとはかねてきゝしかど昨日けふとはおもはざりしを


Вернуться назад